運営
従業員持株会の運用形態
非公開会社の従業員持株会は
退職時に 取得価格で買戻す規約を有しています。
標準的な非公開会社の形です。
①非公開会社でも上場を予定して上場会社と同じように時価で買戻す
規約を持っている従業員持株会や①例外的に上場予定がないにもかかわらず
キャピタルゲインを認めている従業員持株会もあります。
買い戻しの固定化
一般的な非公開会社の従業員持株会は 退職時の
買い戻し価格を その取得価格に固定しています。
従業員側からみると貯蓄で会社が倒産すれば紙切れとなる
ものになります。
なぜ 取得価格で買い戻しをするかは、 従業員が共有している
株価が上昇すると 退職時に買い戻すことが資金的にできなくなる
なることが予想されるからです。
①時価での買い戻しを認めると 従業員持株会が買い戻した株を
時価で次の新しい会員に買ってもらわなければいけませんので、新しい
会員の参加を困難にしてしまいます。
②従業員持株会は 財源を持たない組合ですから 時価で買い戻しを
するお金がありません。 一時的には会社から借入を行います。
従業員の高齢化が進み退職者が増えると 従業員持株会は
株の買い戻しを行いますので、会社からの借り入れも借入金利息も
増え続けてしまいます。
時価で買い戻しを認めると 会社からの借入金は 取得価格で買戻す
場合の数倍から数百倍に膨れ上がります。
みなし配当
従業員持株会が資金不足を解消させるため、株を発行会社に
買戻すようななことをしてしまうと 非公開株式であるので
高額ののみなし配当が認識されます。みなし配当には
20%の源泉徴収と 従業員側には 配当所得として
総合課税され超過累進課税の最高税率50%の税金の
負担が待っていいます。
上場されている場合は 発行会社に売却しないで
市場で売却できるので 株式の分離課税で譲渡益に
20%の税金の負担で済みます。
退職者が増えると問題が増える
従業員持株会は新規に会員を増やさないと
資金不足に陥り、会社から借入を続けないと
存続できません。 発行会社に買い戻しを
させると みなし配当課税が待ち構えています。
問題を解決させる特効薬は存在していません。
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2012年11月17日 | コメントは受け付けていません。 |
カテゴリー:従業員持株会
課税関係
配当金の課税
従業員の持ち株は 従業員持株会の共有となっていますので
会社からの配当金は従業員持株会の理事長宛に支払われます。
従業員持株会は 従業員に 配当金を支払うことになっています。
従業員持株会は パススルー課税で 従業員持株会の
会員の配当所得となり課税されます。
しかしながら
①給与所得者ですので給与所得以外の所得金額が
20万円以下ならは確定申告の必要はありません。
②配当所得の金額は10万円以下なら申告不要です。
また
所得が低い場合は 配当控除を受けて源泉所得税の
還付を受けるために申告することもできます。
脱退
退職などで従業員持株会を脱退する場合には
所得価格で 従業員持株会が買い戻すことになっていますので
譲渡益は発生しませんので課税されません。
仮に キャピタルゲインを認める場合には
譲渡益に対して20%の株式の分離課税になります。
会社側
配当に関する支払調書を税務署に提出します。
配当から源泉徴収された所得税を税務署に納付します。
オーナー
株式を
供給する場合は 会社オーナーの取得価格で供給しすので
譲渡益は発生しません。
仮に 時価で供給するようなケースでは株式の譲渡益に
対して20%となります。(所得税15% 住民税5%)
従業員持株会
民法上の組合ですので原則的に課税は発生しません。
配当金や株の譲渡益が発生しても パススルー課税になります。
税務署には 信託の計算書を毎年提出します。
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2012年11月16日 | コメントは受け付けていません。 |
カテゴリー:従業員持株会
従業員の株式取得資金
初回放出
相続税対策ためにも急いで従業員持株会を設立運営ししなくてはいけない場合も
あります。
この場合は
①会社からの貸付
②臨時の賞与などが支給され
株式を取得してもらいます。
会社からの貸付は 金融機関からの
又貸しになるようなケースでは 会社が借りた
利率で貸し付けます。
臨時賞などは株の取得を期待して行うものですが
株の取得を強制することはできません。
賞与ですので 所得税や社会保険料などの
負担が発生します。
2回目以降の放出
2回目以降は 初回放出の
①会社からの貸付 ② 臨時賞与など
に組合わせて
④給料や賞与からの天引きの手続をとります。
賞与のからの天引きは毎月の天引きの数倍としておきます。
蛇足ながら 臨時の賞与などは 株価の引き下げにも効果があります。
⑤配当金からの拠出
再投資を原則として 現金の支払いも可能としてしておきます。
奨励金の支出
従業員持株会に参加する従業員に対しては
税法上および会社法上認められる範囲内で
奨励金を支払います。
一般的には 天引きされる積立金の3%から10%程度が
認められる範囲内です。
株主に対する会社からの利益供与になりますので
多額の奨励金はNGとなります。
奨励金の税金など
給与所得として 所得税の対象 源泉徴収します。
労働保険 の 賃金には該当しません。
社会保険上の 報酬にも該当しません。
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2012年11月15日 | コメントは受け付けていません。 |
カテゴリー:従業員持株会
配当優先株への転換
従業員持株会を設計する際には
種類株式を活用します。
配当優先株
従業員に株を持たせるためには
退職時のキャピタルゲインを与えないように
取得価格で買い戻すのが一般的です。
株の値上がり益も見込めない株を持たせるのですから
配当優先株に転換させることは常識です。
①新株を発行する場合には 配当優先株を発行します。
②オーナーなどが株を供給する場合には
普通株式を配当優先株に転換する必要があります。
現在の会社法では従来とは異なり、株主の同意が
あれば配当優先株に転換できます。
株主全員の同意は必要ありません。
議決権制限
経営者側の経営支配権の問題から
議決権制限も検討します。
議決権のない株主でも帳簿の閲覧
取締役解任請求権が付与されています。
税務上の評価にあたり無議決権株式は
株式数から除いて計算しますので 最低限
剰余金の配当に関する議決権は付与しておきます。
黄金株
オーナー側では 黄金株を発行するなど
ありますが メリットの反面
黄金株を先代の社長が持つと 相続税の納税猶予が
受けられませんので判断が求められます。
議決権制限株式に変換する方法
一般的な方法
オーナーの所有する株式の一部を議決権制限株式に
変換する方法 株主全員の同意が必要になります。
全部取得条項付種類株式による場合
順番
1番目 配当優先議決権制限株式の発行を定款に定める
株主総会の特別議決
2番目 全部取得条項付種類株式の発行を定款に定める
普通株式に付与します。
反対株主に対して株式買取請求権を行使して 現金を支払います。
すべての株式が配当優先議決権制限株式になりますので
3番目 オーナーに1株 普通株式を時価発行します。
議決権の100%がオーナーに残ります。
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2012年11月15日 | コメントは受け付けていません。 |
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加入資格
従業員持株会の加入資格
①従業員 勤続年数 半年から2年未満を除くにしておくのが一般的な方法
②パート アルバイト 原則的に加入できない。 正規社員と同等の勤務形態の
場合は 例外的に認める。
役員の場合
加入できない。 役員持株会で加入する。
その他
出向中の社員 海外赴任の社員 子会社等の社員
加入できる。
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2012年11月15日 | コメントは受け付けていません。 |
カテゴリー:従業員持株会
株式等を取得する権利の価格
所得税法基本通達23~35共通-9
法人税法9-1-13 4-1-16と 言葉の違いこそあれ
内容は同じです。
売買実例は 最近において と 法人税法では 6月 と
言葉は異なります。
純資産価額を参酌して通常取引される価額
となり 所得税法基本通達59-6
株式等を贈与等した場合のその時における価額が規定がありますが
法人税法基本通達9-1-14 4-1-6と同じです。
所得税法では 贈与又は譲渡の価額となっているだけです。
個人ー法人間の取引には 所得税法59条の
みなし譲渡の規定が働きます。
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2012年11月14日 | コメントは受け付けていません。 |
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上場有価証券以外の株式の価額
法人税法上の時価を規定しています。
法人税法基本通達9-1-13
法人税法基本通達9-1-14 にあります。
平成12年の改正で 全く同じ内容の通達が
法人税法基本通達4-1-5
法人税法基本通達4-1-6にあります。
9-1-13 9-1-14は評価替えの通達
9-1-5 9-1-5 は 再生計画認可の決定
の株式の価額ですが 法人税法上の時価を
定義していますので 譲渡の際の時価を
規定しています。
法人税法基本通達 9-1-13 4-1-5
は 4つの取り扱いがあります。
(1)売買実例のあるもの
(2)公開途上にある株式
(3)類似する法人の株式の価額のあるもの
(4)純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額
売買実例は 普通あるものではありません。
↓ 次に進みます。 評価差額に
公開途上 でない場合は 次に進みます。
↓
類似する法人 注意したいのは 相続税法の類似業種ではありません。
類似する法人のことをさしてます。 そのまま飛ばします。
↓
結局 純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額 と
なりますが 具体的な計算方法は ありません。
法人税法基本通達 9-1-14 4-1-6
上場有価証券以外の株式の価額の特例となっています。
課税上弊害がない限り、のことわり書きを挟み
次の条件で 相続税法基本通達の178から189-7による計算によること
が規定されています。
>
相続税法上の取引相場のない株式の評価の例よる場合
原則的評価 特例的評価 特定会社(土地保有 株式保有)
などがあります。
(投資育成会社の収益還元法は別途 法人税の規定が認めています)
純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額
とは 具体的な計算方法は 相続税財産評価通達の取引相場のない株式の評価方法によることになります。
条件
(1)中心的な同族株主に該当するときは 小会社に該当するものとして計算する
純資産価格による L=0.5 併用方式の選択可能
(2)土地 上場有価証券は 時価による
土地の場合は 相続税法上の路線価方式などの評価は認められていません。
市場時価ということになってます。 路線価方式は 時価の0.8掛けと
言われてますので 0.8で割り戻す方法も認められます。
上場有価証券は 取引時の時価となります。 相続税法の もっとも低い価額はNGです。
(3)評価差額に対する法人税相当額を控除しない。
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2012年11月14日 | コメントは受け付けていません。 |
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取引相場の無い株式の時価
第3者割当増資の時価
増資が税務上認められる時価でない場合には
贈与税などの課税問題が発生します。
取引相場の無い株式の時価は
法人税法・所得税法・相続税法の通達にあります。
①所得税法・法人税法では 取引時価
②相続税法では 財産基本通達による時価が存在します。
①の取引時価は 純資産価額を参酌した公正な価格で
あるとしています。
②の財産基本通達の時価は
原則的な評価方法は
純資産価格等で 会社の規模に応じて類似業種批准価格も含みます。
少数株主の場合は 株式の所有価値は配当を受ける事しか利益に
なりませんから 原則的評価方法とは 全く異なる 低い評価を
行う 特例的な評価方法として 配当還元法が認められています。
①の所得税法・法人税法では 取引時価においても
特例計算の 配当還元法が認められます。
従業員持株会の時価 オーナーや会社の自己株の時価
従業員持株会や従業員は 配当を受けるだけで会社の支配権とは関係が
ありませんので、 特例的な計算方法である配当還元法が認められます。
しかし 従業員持株会 従業員などの少数株主から 会社オーナーや
会社自身が買い戻す場合には 原則的な評価方法が時価となりますから
買い戻しにを安易に行うことは厳禁です。
特例計算の適用できる 少数株主への時価は 配当還元法は
原則的な評価方法よりも 数分の1から100分の1程度の
著しく低い時価の計算になります。
少数株主の時価は 配当還元法でなければいけないのでは
なく 原則的な時価でも 税務上は問題がありませんので
配当還元法で計算された時価から 原則的な計算方法の時価
の間であれば 税務上は贈与の問題はなくなります。
また 配当還元法よりも低い価額で取引しても 贈与税の基礎控除
以下で管理できれば贈与税も負担しなくてよくなります。
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2012年11月13日 | コメントは受け付けていません。 |
カテゴリー:従業員持株会
株式の供給
従業員持株会への株式の供給は
①オーナーからの供給
②会社の自己株式の処分。新株発行
の2つの方法しかありません。
オーナーからの供給
譲渡制限株式の譲渡承認を会社から受けるだけ。
譲渡価格は 配当還元法による非常に安い価格で譲渡
する事が可能です。
第3者割り当てによる有利発行
株主総会の特別議決が必要
①時価発行の考え方
1株100万円の株を持ってるとします。
Aは5株 Bは3株
Cさんに新株を割り当てる場合には
A Cともに 100万円で発行してくださいと
言うはずです。なぜなら A B ともに損得勘定
があるからです。
全部で 9株 株式の全体の時価900万円で
誰も損も得もしません。
仮に Cさんに50万円で割り当てたとします。
全部で9株 株式の全体の時価850万円になり
1株当たりでは944、444円になります。
A と Bは損をして Cが 得をします。
税務上では A Bから Cさんに贈与があったものとみなされます。
しかしながら Cが従業員である場合は 税法の特例で配当還元法
を認めています。 配当還元法よる時価が 10万円であるなら
税法の原則的な評価が100万円であるなら
10万円から100万円の間で新株の発行を行っても贈与の問題は生じません。
税務上は贈与にならなくても A Bは損をしますので株主総会の特別議決が
必要となっています。
節税効果
①オーナーが株式を拠出する場合 は 相続財産が減少します。
②従業員持株会に 有利発行する場合には 1株当たりの時価が減少して
株価が薄まります。
① ② ともに 相続対策として非常に効果があります。
①の方法は②よりも相続財産を減少させ、対策効果が大きくなります。
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2012年11月13日 | コメントは受け付けていません。 |
カテゴリー:従業員持株会
設立
従業員持株会の設立
設立方法は 3つ
①民法の組合による場合(証券会社方式)
②任意団体による方法(信託会社)
③人格のない社団
がありますが ①の方法が一般的です。
民法の組合による場合には、各当事者が
出資して、株式は 共有になります。
設立
規約を作るだけ組合員が2名以上であれば
設立可能(登記などは不要です)
配当優先株の設計のために会社の定款変更と登記が必要に
なります。
① 計画・立案
規約・株式の拠出 相続。事業承継対策
経営計画 など 時間をかけてコンサルティングしていきます。
会社オナーの持ち株を75%以上 従業員持株会の持分を25%未満に
しておきます。
従業員持株会に引き渡す株は 無議決株式などを検討します。
② 理事長1名 通常は理事2名 幹事1名を決めて発起人とします。
慎重に選びます。 会社との調整役として、従業員持株会の独立性が
確保できるようにします。
非公開会社の場合はオーナーが中心になって準備して理事長を選び、
教育指導します。 従業員持株会の設立・運営は会社側の主導で
運営していかざるを得ません。
③事務管理
会計事務所などの助言を得ながら自社で運営するか、外部委託するのか
決めます。
④事前の根回し
株主構成が変わりますし、優先配当しますので 主要な株主には根回しが必要になります。
第3者割り当てによる株式発行による場合には 株主総会の特別議決が必要になります。
⑤規約の原案作成
⑥発起人会 設立総会 理事会の開催
従業員持株会の規約の原案が規約になります。
⑦株主総会の特別決議
①オーナーの持ち株を従業員持株会に売却する場合には
配当優先の議決制限株式にしたり。
②第3者割当増資をするにしても 特別議決が必要になりますので
株主総会の開催準備をします。
⑧供出金を給料などから天引きするために協定書を締結します。
⑨ 会員の募集
会員募集で一番重要なのが 退職時に従業員持株会が強制的に
取得価格で買い戻すこと説明して、毎年の配当利回が高いことを説明します。
十分に説明しないと のちのちのトラブルになります。
従業員の理解不足から会社側からの搾取と誤解を招く恐れもあります。
⑩株式の拠出
配当還元方式により オーナー株式を供出又は 第3者割り当増資
をおこないます。
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2012年11月12日 | コメントは受け付けていません。 |
カテゴリー:従業員持株会